更新日:2025年3月14日

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トコジラミ(ナンキンムシ)

トコジラミは、南京虫(ナンキンムシ)とも呼ばれ、名前はシラミですが、分類学的にはカメムシの仲間です。ダニの仲間でもありません。日本国内では、殺虫剤の普及により1970年代に激減しましたが、近年、再び相談件数が増加しています。
その原因として、海外との往来の増加により旅行者の荷物の隙間にまぎれて国内へ持ち込まれるケース、手荷物などと共に旅先の宿泊施設などから家庭内へ持ち込まれるケース、ピレスロイド系殺虫剤に抵抗性をもつ個体(スーパートコジラミ)の増加が原因と考えられています。

形態

  1. 成虫の体長は5~8mm、幼虫の体長は1~4mmです。
  2. 成虫・幼虫ともに体は楕円形の扁平な形をしています。幼虫の色は白っぽく、成虫の色は茶褐色です。
  3. 卵は長円形で乳白色、長径は1.2mm前後です。
  4. 卵から成虫になるまでの期間は、約40日間です(5回脱皮します)。
    tokojirami_seichu tokojirami_tamago
    成虫(5~8mm) 卵(1.2mm前後)

 

生態

  1. トコジラミは、暗くて、温かい場所を好みます。昼間は暗い隙間に隠れていますが、部屋が暗くなると人から出る二酸化炭素を感知して、人の肌が露出した部分(足、手、首など)に取り付き吸血します。
  2. オス・メスに関わらず幼虫から成虫のすべてが吸血します。
  3. 吸血すると体は濃血色になり、丸く膨れます。吸血したトコジラミは、生息場所などで濃褐色から黒色に見える血糞(トコジラミサイン)を残します。
  4. トコジラミは、吸血しなければ生きていくことはできませんが、成虫は飢餓(空腹)に強く、吸血しなくても数カ月は生存することができます。
  5. メスは、1日当たり5~6個の卵を毎日産み続け、一生の間の産卵数は、最大で500個にもなります。

被害

  1. 就寝中などに体に取りつき吸血します。この吸血により非常に強いかゆみが生じます。
  2. 症状には個人差がありますが、かゆみが激しい場合は、十分な睡眠がとれず精神的なダメージを受けたり、皮膚のかきむしりによる皮膚障害を起こすなど生活に支障をきたすこともあります。
  3. 初めて吸血された(刺された)人は症状がでないこともあります。一方で、あまりに長期にわたって吸血され(刺され)続けることで、かゆみを感じなくなる人もいます(個人差があります)。
  4. かゆみの原因は、トコジラミは吸血するときに、血液が固まらないために注入する唾液によって引き起こされるアレルギー反応です。なお、トコジラミの吸血によって感染症が媒介された報告はありません。
    tokojirami_asi tokojirami_ude
    足を刺された痕 手首を刺された痕

トコジラミの潜伏場所

  1. トコジラミが潜む場所は、「清潔または不潔」とは無関係です。人がいて、潜みやすい場所(隙間や暖かい場所など)があれば、どこでも生息・繁殖できます。ただし、整理整頓されず、掃除が行き届いていない部屋については、トコジラミの発見が遅れて被害が広がるリスクが高くなってしまいます。
  2. 扁平な体を活かして、ベッドの隙間や裏、マットレスの中、布団、まくらの中、家具類の裏やすき間、カーペット、ソファ、床や壁の継ぎ目、畳のへり、畳の隙間、床・柱・壁・天井の隙間、押入れ、ブラインド、カーテン、衣類(えり)、鞄(ファスナーの縫い目)、電化製品の裏や内部、コンセントプレートの中、本(特に裏表紙の中とカバー中)、掛け軸の裏、ダンボールなどあらゆる隙間に潜んでいます。
  3. 就寝中に吸血するため、寝室、布団、ベッドの周りに多く潜伏します。
  4. トコジラミが潜んでいる場所には、血糞(トコジラミサイン)という黒いしみが見られます。
  5. トコジラミは物に付着、または産卵してその潜伏場所を広げます。
  6. 特に卵や幼虫は粘着性があり、衣類などに付着しやすいため、注意が必要です。
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    引戸の溝に付着した血糞 かばんに付着した卵
    tokojirami_sukima2  
    隙間に入り込んだ成虫  

対策

  1. トコジラミはひとたび繁殖すると駆除が難しく、多くの労力や費用がかかってしまいます。また、生息場所がどんどん広がっていきますので、家族以外の人にも被害が拡大することが考えられます。日頃からこまめに掃除を行い、トコジラミの発生を予防することが重要です。
  2. 家庭内でトコジラミに吸血された(刺された)人がいる場合は、トコジラミが潜んでいる場所を調べて、トコジラミがいるか確認しましょう。
  3. トコジラミが潜んでいる場所には、血糞という黒いしみが見られます。血糞は潜んでいる場所の入口付近でよく見られるため、血糞を見つけたらトコジラミが生息している可能性があります。
  4. 部屋の電気を消した状態でベッドなどに横になり20分ほど待ってから電気をつけると、吸血しようと部屋の隅から這い出してきたトコジラミを発見できる可能性が高くなります。
  5. トコジラミは、昼間は見えにくいわずかな隙間に潜んでおり、成虫に有効な殺虫剤も卵には効果がないため、トコジラミが大量に繁殖している場合、自力での駆除は困難です。
  6. 虫刺されによるかゆみがあり、血糞やトコジラミを発見した場合は、速やかに専門業者に駆除を依頼することを検討してください(千葉市ではトコジラミの駆除は行っておりません)。
  7. ご自身で駆除する場合には、以下の方法があります。しかし、トコジラミの発生状況によっては、完全に駆除することは困難な場合が多いため、駆除の効果が見られない場合は専門業者に駆除を依頼しましょう。
  • 掃除機で吸い取り、吸い取ったゴミは密封してから、すぐに処分しましょう。
  • 成虫・幼虫、卵などをガムテープで捕りましょう(素手で潰さないようにします)。
  • シーツや衣類などは、お湯(80℃以上)に5分以上浸けるか、通常の洗濯後に熱乾燥機にかけましょう。
  • 殺虫剤を使用する場合は、有効成分がプロポクスル(カルバーメート系)またはメトキサジアゾン(オキサジアゾール系)の殺虫剤を使用しましょう。しかし、殺虫剤は、卵には効果がありません。また、市販の殺虫剤で最も一般的なピレスロイド系殺虫剤は、抵抗性をもつ個体(スーパートコジラミ)への効果が低いので推奨しません。
  • トコジラミがいる部屋のダンボールは必ず捨てましょう。
  • くん煙剤(部屋に煙を充満させるタイプ)は、かえってトコジラミを拡散(被害が他室に広がる)させてしまう可能性があるため注意しましょう。

 

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保健福祉局医療衛生部保健所環境衛生課

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